冷凍食品イメージ【小売業界の月次報告中】デパート・スーパーの売上報告にもあるように、消費者は特に食品の価格に目を光らせ、少しでも安いものを買い求めようとしている。まとめ買いが出来る食料雑貨店に足を運んだり、クーポン券を活用したり、あらかじめ購入リストを作っておき衝動買いを抑えたり(元記事では25%も節約できるとある)など、手立てはさまざま。一方で多くのスーパーやデパートでは、これまで以上に、食料品の販売へ重点を置きつつある。なぜなら食料品は毎日の生活に欠かせないものであり、消費者が食料品の良さに目をつけてくれれば来店頻度が高まり、他の商品にも手を伸ばしてくれるかもしれないという期待を持てるからだ(要は客引きのために食料品販売を行う)。【MSNBC.com】ではそのようなスーパーやデパートでの食品購入の際に「お値打ちな冷凍食品に注目しよう」という観点のもと、6つのカテゴリーにおいて冷凍食品の購入を薦めている。まずはアメリカの事情について概略を列挙し、その後日本の事情の場合における「ツッコミ」をしてみることにしよう。




1.「冷凍品」と「季節外れの生もの」
季節外れの果物や野菜などをそのまま購入しようとすると、航空運賃やビニールハウスの暖房費などが上乗せされるため、価格は割高になる。

2.「冷凍魚」と「魚介類コーナーの新鮮な魚たち」
冷凍魚(や冷凍の魚の切り身など)は価格が安いが、新鮮な魚介類コーナーに並べられた魚たちと比べると新鮮味に欠ける感がある。しかしそれらの魚を良く見ると、エビをはじめとして多くが「冷凍して運ばれてきた」ものであることが多い。

3.「パッケージ詰めされた酪農チーズ」と「高級な小分けチーズ」
チーズそのものの品質が法律で規制されているため、中身はさほど違いはない。要は価格の違いはパッケージ価格の違いとして現れることになる。

4.「パスタソース」と「缶入りトマトソース」
パスタソースならすぐにパスタに使えるが、その分お高くつくし、人によっては余計な成分(過剰な糖分など)が含まれている。缶入りトマトからパスタソースを作れば、安上がりで済むし自分の好みの味付けができる(その分手間がかかるが)。

5.「パッケージ詰めされたパスタ」と「出来立てのパスタ」
長期間保存が可能な、そして安価なパスタについて「保存料とかリスクが高いのでは」と心配するかもしれない。しかし実際にはそれらパスタの大部分は、ちゃんとした素材で作られており、それほど心配するようなものは含まれていない。

6.無農薬のブランド牛乳とプライベートブランドの牛乳
高級ブランドの無農薬牛乳と比べればプライベートブランド(販売店提供のブランド)の牛乳は非常に安い。例えば「秘密のレシピ」に書かれた所定のブランド牛乳を使わないことで、味が違ってしまう料理があるかもしれない。しかし他の主要な食材同様に牛乳においては、無農薬の高級ブランドだろうとプライベートブランドだろうと大した違いは無い。そして選択次第で数十パーセントの節約をすることができる。

要は原文では冷凍食品を中心に「あなたのこだわりの対価として支払っている代金は、実はさほど意味がない」ということを主張している。1円、もとい1セントでも節約したいアメリカの世帯においてはそれも一理あるし、例えば「2.「冷凍魚」と「魚介類コーナーの新鮮な魚たち」」のエビのように「新鮮に見えても一度冷凍したのを解凍しているのなら、結局冷凍品と鮮度は変わり無いよ」というのは、なるほどという感もある。また「季節外れの果物や野菜を無理に高値で買うくらいなら、冷凍ものの方が安上がりだよね」という考え方ももっとも至極のもの。

お魚イメージ一方、日本の場合では当てはまらない事例も多い。例えば同じく「2.「冷凍魚」と「魚介類コーナーの新鮮な魚たち」」の場合は、外国産のものならともかく国内・日本近辺で獲れたものは冷凍されることなく、冷蔵の状態でお店に並べられることも多い。それらを「鮮度の面で冷凍と同じ」というのはさすがに失礼。また、「1.「冷凍品」と「季節外れの生もの」」でも、最近の円高傾向や海外の農作物の生産コストの安さから、冷凍品と海外直輸入の野菜・果物の価格差がさほど大きく無い場合も多い。

さらに【スーパー・コンビニでの買い物、「価格」と「品質」どちらを優先する!?】にもあるように、昨今の日本人の消費スタイルにおいては「安いものを買いたいのは事実だが、品質をないがしろにはしない」傾向があるため、「安ければ味や品質のこだわりなど関係無いネ」という選択はあまり好まれない。

今件は日本に住まう我々にとっては、「こだわりの要らない食材は、価格の安いものを積極的に購入する」を参考として留めておく程度にした方が良いのかもしれない。もっとも改めて指摘されれば、チーズや牛乳は「直接飲み食いするのならともかく、食材として使うのなら、それほどブランドにこだわらなくてもいいかな」という気もしてくるのだが。