ステキな体験個人事情でも大企業の営業マンでも、そしてあまり対外折衝をしない開発スタッフでも、お客様の立ち位置にある取引先に「良い気持ちになってもらう」「気分の良くなる体験をしてもらう」心得を知っておくのは悪い話ではない。あまりに度が過ぎると単なる太鼓持ちだが、適度に相手の事を想いやる気持ちはビジネスの上ではもちろん、日常生活の上でも役立つものとなる。[Career Success Partners]では「あなたのお客様により良い経験を提供する10の方法」と称し、お客との間の関係強化も狙える、心象を良くする10の事例を紹介している。


仕事場の電話1.電話での応答では親切に、しかも相手にとって役立つ応答をする
初めての意思疎通は電話によるものかもしれない。その際の第一印象が後々に大きな影響を与え得る。また初めてでなくとも、電話だからといっておろそかにしてはならない。

2.往訪時には親切に、そして専門家ならではの腕前を見せる
目の前でプロの腕前を見せつければ、相手は感心し、敬意を示し、信頼を寄せるようになる。パソコンのトラブルで難儀していたところに駆け付けたパソコン好きな同僚が、ものの数分でその問題を解決したら、誰もがその腕前に感心し、褒めたたえるに違いない。

3.役立つ情報をウェブサイト上で提供する
電話をしたり直に足を運ぶ時間が無いお客様は、ウェブサイトで腕前・信頼度をチェックするかもしれない。その時に適切なガイダンスで的確な情報を提示できれば、そのサイトの運営会社・担当部局に好感を持つだろう。ウェブサイト側では「お客様向け」のページ・コーナーを創っておくことを忘れずに。

4.イエスマンではなく「フォアザカスタマーズ(お客様のために)」を考える
お客の言うことにすべて「はい」と答えるだけでは、本当にお客にとってプラスとなることをしているとは限らない。自分のスキルをフルに活用し、お客の呈している内容が明らかに間違っているのなら、巧みな会話術を用いてより良い・より正しい選択肢をお客に選ばせよう。

締め切り5.締め切り厳守
お客が「どうしても守らねばならない締め切り」を提示したら、それを無視してはならない。可能なら締め切り前より仕事をあげて、さらなる高評価を期待しよう。

6.お客が「最重要」の立ち位置に無くとも、そのように応対する
多数のお客を抱えている人の場合、お客の間に序列を設けているかもしれない。しかしその序列通りにお客一人ひとりを扱うと、直接の対応だけでなく雰囲気などでも「それ」を察知してしまうものだ。自分が「序列上では下の方にあるお客」と気付いた上で、気分が良くなる人がいるだろうか。

7.ちょっとした接待を欠かさずに
「袖の下」や豪華絢爛な接待では無く、深い人間関係を築けるような接客を試みる。原文ではフットボールや競馬の試合観戦に招待する、とあるが【私たちがもっと口にすべき10の言葉】にもあるように相手の好き嫌いを配慮しなければならないのが難点。日本風のアレンジを、自分とお客との立ち位置・環境を踏まえた上で考えよう。

8.あまり我を前面に出さない
【自分の提案を上司に「OK」と言わせる10のテクニック】の話にもあるように、あまりも自我を前面に出されると、お客も良い思いはしない。結果的にこちらの思惑通りになったとしても、お客が自ら選んだと自認してくれるような応対をするのが望ましい。

価格交渉と小切手9.公平で適切な価格の提案をする
他に競争相手がいなくても、不当な高値を提示してはいけない。逆に競争相手に勝つために不当な安値を提示してもいけない。前者はお客を不愉快な思いにさせて関係悪化、断絶を生み出しかねないし、後者は採算が取れなくなり(場合によっては質の悪化をもたらし)、やはり関係悪化などを見出だすことになる。

10.協力関係を構築する
どんなにしっかりした計画を練っていても、必ず問題は発生する。その際に、これまでの協力・信頼関係が臨機応変で適切な対処をもたらすことになる。一度一度の契約による関係では無く、長期に渡って良好な関係を保ち、持ちつ持たれつの間柄になれるような努力と配慮を心がける。

もちろんこれらの話は臨機応変に適用する必要がある。例えば「5.締め切り厳守」の場合、次から次へと追加仕様を投げかけてくるお客なら、当初の締め切りが守れるはずは無いので、締め切りを延ばす折衝は欠かせない。また、締め切り前に仕事を挙げた時に「時間が余っているのなら、これも追加で」と言われかねないことに注意しておく(さらなる仕事の発注なら良いが、タダ働きさせられることも無いとはいえないので)。

これらの話は単純に「会社の一構成員の立場における対外折衝の心得」だけでなく、個人ベースの対人関係にも応用が利く部分が多い。恐らくほとんどは無意識のうちにしていることばかりだろうが、再確認のチェックリスト代わりとして読みなおしてみるのも悪くない。