時間目の前には山ほどの書類、手帳のスケジュール表はいつも真っ黒で、いつも小走りに歩きまわり、口癖は「時間が無い」。時間に振り回されるビジネスパーソンの代表的な行動パターンだが、彼ら・彼女らは本当に時間が足りないのだろうか。あるいは単に、時間をうまく使えないような習性を持っているだけなのかもしれない。【Dumb Little Man】では7つの事例を挙げ、「このような人たちはいつも『時間が足りない』と言ってるよね。自分自身の態度を見直してみないかい?」とアドバイスしている。




拒否1.「ノー」と言えない
自分が引き受けるべきでない、必要の無い重荷を引き受けてしまう。気が付けば本来他人がすべき事を、自分がしているのに気が付くだろう。当然自分自身のための時間は食いつぶされてしまうことになる。【残業を断るための5つの決めゼリフ】などでも似たような状況が説明されている。

2.自分の義務をしっかりと把握していない
自分の目につくものは何でも「やらなきゃならないこと」と勘違いしていると、いくら時間があっても足りない。自分が関わっている事柄の中で、義務としてなさねばならないこと、義務ではなく優先順位の低いことをしっかりと区分すれば、本当に割かねばならない時間を認識できる。そして義務でないことへの労力を割くのを止めれば、時間に余裕が生まれる。

ミス3.ケアレスミスをしょっちゅうしでかす
「買物をしようと街まで出かけたら、お財布を忘れていた」などのように、ちょっとしたミスで無駄な時間を浪費してしまう経験は誰にでもある。慌てて物事を成そうとしたり、思慮深さを忘れたり、疲れて注意力が散漫になっていると、比率は極めて高くなる。【意思決定を改善する5つの鍵】でも触れているが、「考えるのは素早く、でも行動する前に立ち止まる」ことで、ミスはかなり減らせるはず。

4.実はぼーっとして無駄な時間を過ごしている
「いつも時間が足りないヨ」と愚痴をこぼしている人が周囲にいたら、その人の観察をお勧めする。何もせずにぼーっとしていたり、何となくウェブサーフィンをしていたり、うつろな目をしながらうとうとと書類に目を通しているようで船をこいでいたり……ちょっとした時間でも、例えば【ちょっとした合間の時間をカンフル剤に変える素敵な呪文】にあるような話を実践するだけで、意外に時間を創り出すことはできる。

5.重要度を考えていない
物事にはすべて優先順位がある。考え方によっては「その日のうちにやらなくても良い」「自分が必ずやらねばならないとは限らない」物事もある。それらを律儀に順番に、優先順位を気にせずに手掛けていたのでは、時間がいくらあっても足りない。まずは重要な事を終わらせるのが先。

一人で……6.すべてを自分一人で片付けようとしている
どのような人間でも1日は24時間でしか無い。色々な能力に長けていても、一人が出来ることには限界がある。特に人の上に立つ立場にいる人は、部下に自分の仕事の一部を任せることで、時間を創り出せるようになる。【リーダーが会得しておくべき9つの習性】で触れている「他人に権限の譲渡をしている」が該当する。中にはすべてを自分一人でこなそうとする人(「三国志」における蜀の国末期の諸葛孔明が良い例)もいるが、パンクしてしまうのが関の山。

7.物事を中途半端にしたままにしている
手掛けた仕事にけりを付けなかったり、色々と後回しにして終わらせずに放置していると、時間の経過と共にますます手掛けねばならないことが増えていき、結局より多くの時間が必要とされてしまう。例えば取材レポートを作る場合、「疲れたから明日でいいや」「少々時間がかかりそうなので週末にまとめて」などと後回しにしておくと、記憶があいまいになったり資料の一部が無くなっていたり、あるいは事態が動いてさらなる調査が必要になるなど、余計な時間が負荷として求められる。出張時の経費報告書なども「後回しにすると余計な時間をとってしまう」良い例だ。

もちろんこれらの事柄がすべて正しいとは限らない。例えば「5.」の場合、たとえ「山ほどの資料Aを片づけるのが最優先事項」だったとしても、個人のやる気を考えると、朝一からステーキを食べさせられるようで、モチベーションが上がるか否か疑わしい。それよりは「優先順位は低いけれども、30分でカタが付く、資料Bのまとめをつくる」を先に手掛けた方が、達成感を得ることで仕事のやる気・ノリ気も上がり、スムーズに「資料A」へ取りかかることができる。

人は機械ではないので、行動は単純に「時間が短ければ良い」と割り切ることは出来ない。とはいえ、「6.」にもあるように、人に与えられた時間は限られているのもまた事実。出来ることならもう少し賢い時間の使い方をして、「時間が足りないな」と愚痴をこぼす機会を減らしたいものだ。その愚痴をこぼす時間もまた、時間の無駄なのだから。