

子供という新しい構成員を目の前に、まずは夫婦間の意思疎通・コミュニケーションを確かなものとしておく。これまで、そして今後子供を育てていく際に、家計事情は問題ないだろうか。夫の働きだけで大丈夫なのか、それとも子供の養育費などを考えると妻のパートも必要になるだろうか。妻も働きに行かねばならない場合、パートの間の子供の世話はどうすべきなのか、祖父母にお願いするのか託児所を利用するのか。考えるべきことは多い。そのためにもまずは夫婦間で真剣に話し合いを持つべきだ。
2.収入相応の生活をするよう心掛ける
俗に言う「身分相応の生活」をするように心がける。これまでは多少無茶なお金遣い、浪費も許されたかもしれない。しかしこれからは10年以上かけて子供を育ていかねばならないのだから、自分に対する贅沢を慎む必要がある。世間一般の固定観念や流行にとらわれることなく、子供のことも考えた上で余裕予算の中から、重要なモノを買いそろえていくようにしよう(「キレイなお母さんの方が子供も喜ぶから」とばかりに無駄に宝石や毛皮のコートを買い求めるなどという、責任転嫁的な話は論外)。
3.財務的な「備え」をしっかりと蓄えておく
一か月の平均収入を計算し、その3-6倍(要は3-6か月分。ただし全収入では無く、妻のパート分)は「緊急予算」として常に貯蓄しておくように心がける。この予算については子供が出来てから、ではなく、出来る前に蓄財しておくことが望ましい。これは親の失業対策という意味では無く、子供の育児のことを考慮した上での話。子供がまだ乳幼児の際に母親に育児を任せている間、彼女にパートをさせるのは不可能に近い。当然収入減の一つが断たれてしまうからだ。
原文では「子供が出来る前に同棲を始めてから、夫婦が共働きをし、夫の収入だけで暮らすことを訓練すると良い」とある。妻のパート分は「緊急予算」として貯蓄できるし、夫の収入だけで夫婦が生活しなければならない時の練習にもなる。

自分の子供を持つようになった時点で、夫婦はその子供に対して様々な責任を負うことになる。万一自分の身に何かあったとしても、それでも子供は守らねばならない。その「安全」をお金の面でカバーしうるのが生命保険である。若いうちなら月々の掛け金も安く、「まさか」の時に備えることができる。「保険の掛け金をそのまま貯蓄するから大丈夫」という考えもあるが、「万一」はいつ起きるか分からないのが世の常というものだ。その時、必要十分なだけの貯蓄は用意できているだろうか。
5.出産・育児にかかわる税金を熟知し、有利な税制をフルに活用する
原文ではアメリカの税制にあわせて、子供が出来たことによる税制上の優遇措置の活用方法が書かれている。しかし当然日本の税制とは異なるのでここでは省略する。もちろん日本にも多種多様な税制上の優遇措置があるので、専門誌で確認したり専門家に尋ねてみると良いだろう。
例えば子供が生まれれば「扶養控除」を適用することができる。これは課税所得から38万円が引かれるというもの(【国税庁解説ページ】)。課税所得が減れば所得税はもちろん住民税、さらには各種保険料も減額される可能性がある。そして妊娠や出産でかかった医療費の多くは医療費控除の対象となるので、その総額次第で確定申告を行うことにより、やはり税金を減らすことが出来る。知っていれば知っているだけ得になるのが、お金周りの話であるという一例だ。
なお原文では、最後に次のような言葉を残している。
十分に準備をして、浪費をしないように。そして本当に必要なのはベッドやベビーカー、子供服のブランドやデザインではなく、子供たちに対する愛情と世話であることをしっかりと覚えておくように。
お金周りについての留意事項を掲げたが、それにとらわれすぎないように、そしてお金をかけることでは無く、心を満たすことこそが子供にとっても必要になるというメッセージだろう。